戦闘は熾烈を極めていた。
地上。
「くうっ、あの甲虫型、見た目通り硬いわ、目を狙って!…撃てぇ!!」
ダイアンの声と共に、無数の火線が、生物群に突き刺さる。
幾つかは、硬い甲羅に弾かれるが、殆どは、目とおぼしき器官に当たり、確実に倒していく。
だが、その数は一向に減ったようには見えない。
「…射撃部隊は後退!近接部隊、ジン、準備はいい?」
「…ああ」
ソードウォーリアー・ジンは言葉少なげに頷く。
ジンとその背後に立つ、数十名のミクロマンに向かって、ダイアンが話す
「少しでも、奴らの進軍の速度を鈍らせて。…離脱は各自の判断にまかせる」
無理をするな、という言葉をダイアンは飲み込んだ。今、無理をしなければ、このマンハッタン島は、いや、ニューヨークはアクロウィルスで壊滅してしまう。
もっと戦力があれば。ダイアンは唇をきつく噛みしめた。
「なんとか、間に合ったかな?」
唐突に掛けられた声にダイアンは思わず声をあげた。
「!?テセウス、イカロス、あんたたち!?」
「足止め役なんかには、適役と思うよ、僕たちは」
「もっとも、あの数では、川に小石を投げ込むようなものかもしれないがな」
「それでも、やらないよりは、ましよ。…ありがとう」
イカロスの事実とも皮肉とも取れる言葉に応えてから、ダイアンはマグネミクロマンの2人に礼を言う。
「…おい!」
多少、苛立ったようにジンが声を掛ける。
「そうね、…近接部隊、突撃!!」
「「うおぉぉぉ!!!」」
一方、上空では。
「…やはり、ミリタリーフォースでは、荷が勝ち過ぎるか…」
激闘に身を置きながら、ハヤテは冷静に状況を判断する。
幸い、コウモリ型の生物は甲虫型とは違い、攻撃が当たりさえすれば、倒すのは容易い。
ロードフォースとミリタリーフォースのの攻撃により、既に相当数の生物を倒している。
しかし、絶対数が違う。更に敵は遠距離攻撃能力も持っている。
彼自身やロードフォースはなんとか、その攻撃を避けているが、ミリタリーフォースは確実にその数を減らしている。
「ミクロイーグル!!」
ハヤテの腕から打ち出された、ミクロイーグルが、数体の生物の体を打ち抜く。
「…このままでは、ジリ貧か…」
(…ハヤテ君)
突然、頭の中に、声が響いた。
「グレイブか?」
生物の吐く光線を避けながら、ハヤテが応える。その視界の隅で、光線が一体のスペースレスキューに直撃する。